盲導犬とは

盲導犬とは

盲導犬がどんな犬か、ひとことで表現するのはとても難しいですね。しかしあえて言うとすれば、「視覚障害者と共に歩くパートナー」なのだと思います。ここで言う「歩く」には道を歩くことと同時に、人生を共に歩む、という意味も込められている事に注意して下さい。
では、「視覚障害者と共に歩くパートナー」の意味を考えるために、世間で盲導犬がどんな犬と思われているか考えてみましょう。
一般的なイメージを想像してみると、

  • 頭が良い
  • きびしい訓練に耐える
  • がまん強い
  • 使命感に燃えるような犬

実は、盲導犬には頭の良さは多少必要ですが、他はほとんど必要ありません。どういうことか、順を追って説明しましょう。

盲導犬って頭の良さは必要?

上手にエスカレーターに乗ってグッド!

上手にエスカレーターに乗ってグッド!

まず、「頭の良さ」は、少しだけ必要です。これは訓練士が「学習能力」とか「適応能力」と呼んでいるものですが、学校の成績が良いとか悪いとか、そういう事とはちょっと違います。例えば、エスカレーターを初めて見た犬は、びっくりして後ずさりをします。ほとんどの犬が逃げようとします。ところが、訓練士が「大丈夫だよ」と言って乗せてやると、多くの犬は「ああ大丈夫なんだ」と思って、4~5回目からは平気で乗れるようになります。これが盲導犬に必要な「学習能力」なのです。つまり、人間が「大丈夫」と言ったものを素直に受け入れて、「そうか、大丈夫なんだな」と思える心の柔軟さです。

盲導犬はきびしい訓練に耐える?

ちゃんと自転車をよけたよ!ほめてほめて!

ちゃんと自転車をよけたよ!ほめてほめて!

次に「きびしい訓練に耐える」は正しくありません。犬はとても正直な生き物ですから、きびしい訓練などは大嫌いなのです。それを訓練士がいくら「やりなさい!」と言っても、親が子供に「勉強しなさい!」と言うくらいの効き目しかありません(ほとんど聞かないという事です)。ではどうするかと言いますと、訓練士は犬にとって「楽しい」訓練をするのです。特に訓練を始めたばかりのころはとても大切で、「訓練って楽しいものだなあ」と犬に思わせることが出来ればこちらのものです。訓練士と一緒に遊んだり、ほめられたりする事が楽しくて、犬はどんどん命令語を覚えてゆきます。そうすると、犬はあまり集中していなくても、自然と盲導犬の仕事が出来るようになってゆくのです。こう書くとあまりにも簡単すぎるように思われるでしょうか?しかし、例えば皆さんが自転車や自動車に乗っている時、慣れた方であれば考え事をしながら、あるいは鼻歌を歌いながらでも運転できる、そんな感覚であると思ってもらえれば分かりやすいかも知れません。

盲導犬はがまん強く、使命感に燃えている?

訓練士は、犬たちに盲導犬としての仕事の楽しさを伝える教師です

訓練士は、犬たちに盲導犬としての仕事の楽しさを伝える教師です

ここまで書くと、「がまん強い」と「使命感に燃えている」もちょっと違うな、とお分かりでしょう。盲導犬はがまん強いのでも使命感に燃えているのでもなく、ただ単に楽しく訓練をして、知らず知らずのうちに盲導犬としての仕事を覚えてゆくのです。ですから、訓練士はきびしくて怖い先生ではなくて、犬たちに盲導犬としての仕事の楽しさ、喜びを伝える教師なのです。
ただし、いくら優秀な訓練士でも、すべての犬を盲導犬にする事はできません。なぜなら、訓練の楽しさを理解できない犬、人間からほめられてもあまり嬉しそうにしない犬も中にはいるからです。10頭の犬を訓練して何頭が盲導犬になるかと言うと、実は多くても4頭くらいなのです。あとの6頭は、ほとんどは良き家庭犬となりますが、まれに麻薬探知犬、災害救助犬に向いているということもあります。

盲導犬に向いている性格はズバリ!

長々と書いてしまいましたが、つまり「視覚障害者と共に歩くパートナー」となることのできる犬とは、(1)人と生活をするのが好きで、(2)人にほめられるのが好きで、(3)心が素直で柔軟な犬、と言うことになります。あと1つ、(4)落ち着きと品のある犬、というのを付け足しても良いでしょうか。世間には犬の嫌いな方や身体の不自由な方もたくさんいらっしゃいますから、いくら人が好きと言っても、落ち着きと品がなければ社会では通用しないのです。
これだけのものを備えた犬や血統を見出し、育てるのは簡単ではありませんが、すべてをバランスよく兼ね備えた犬が10頭中少なくとも3頭はいるものです。こう考えると、30%といえども高確率だと思いませんか?バランスの良い性格を持った犬、これこそが盲導犬の資質を生まれ持った犬であり、逆にそうでなければ盲導犬にはなれない、とも言えます。盲導犬とは、そういう犬なのです。

では実際に盲導犬と暮らしている盲導犬ユーザー(使用者)の方はご紹介しましょう。