盲導犬の一生

盲導犬の一生

盲導犬は生まれた時から引退するまで、たくさんの人の愛情とボランティア精神によって支えられています。

誕生~月齢約2ヶ月

盲導犬の血統を持つお父さん犬・お母さん犬(繁殖犬)の間に生まれた盲導犬候補の仔犬は、月齢2ヶ月までブリーディングウォーカー(繁殖犬飼育ボランティア)の家庭で過ごします。その間、栄養たっぷりのお母さん犬のおっぱいを飲みながら、早い時には1日100グラムも成長します。また、きょうだい同士の遊びの中で犬との関わり方などを自然と学習します。

食べて、遊んで、寝て、また食べての毎日
食べて、遊んで、寝て、また食べての毎日

月齢約2ヶ月~1歳

約2ヶ月間一緒に過ごしたお母さん犬やきょうだいと離れ、仔犬たちはそれぞれのパピーウォーカー(仔犬飼育ボランティア)の家庭に1歳まで預かってもらいます。仔犬の社会性が養われる大切な時期に、家族の一員として愛情たっぷりに育てられることによって「人と一緒にいることが楽しい」と自然に考えるようになります。

1歳~盲導犬の訓練スタート

1歳になると、パピーウォーカーの家庭から盲導犬協会に全員が戻ってきます。いよいよ盲導犬の訓練がスタートします。犬によって訓練期間は半年から1年と幅がありますが、その間いくつかのテストを行いながら、計画的に訓練を進めます。

  • 稟性(ひんせい)評価テスト(TA=Temperamental Assessment)
    盲導犬センターに戻ってきて最初のテストは、どんな性格であるか(落ち着きや興奮の高さなど)また健康に問題がないかなどを調べます。
    それぞれの性格(=稟性)や健康面を把握して、訓練計画をたてます。
  • 基本訓練
    「シット(すわれ)」「ダウン(ふせ)」「ウェイト(まて)」「カム(来い)」「ヒール(横につけ)」などをオモチャなど使って教えていきます。上手く指示に従うことができたときは「グッド」と褒めてあげます。これによって「指示に従ったら褒められた=嬉しい」ということを訓練犬たちは学習していき、最終的にはオモチャを使わなくても、指示に従うことができるように訓練していきます。

常に人の左側にいるように教えます
常に人の左側にいるように教えます

  • 誘導訓練
    基本訓練を繰り返すことで訓練士への集中力が高まってきたら、いよいよハーネスをつけて、道の左側を歩き障害物をよけるなど、安全に人を誘導する訓練の開始です。基礎的な誘導訓練から、エスカレーターや電車の乗り方、改札の通り方など応用的なものまで、段階的に進めてゆきます。また、訓練士は1人あたり4~5頭の犬を担当するため、1頭を訓練している間、あとの3~4頭はおとなしく待っている必要があります。この「おとなしく待っている」というのが、とても大切な訓練です。盲導犬になる資質を持った犬は、おとなしく待つ事が得意で、待っている時はほとんど寝ています。ドラえもんののび太のようにどこでも寝られることは、盲導犬の大切な要素の1つなのです。

電車からの乗り降りを何度も教えます
電車からの乗り降りを何度も教えます

みんなで静かに待つことも大切な訓練
みんなで静かに待つことも大切な訓練

  • 第1回適性評価テスト(TP1=Task Performance1)
    訓練開始から約2ヶ月後、訓練担当の盲導犬訓練士がアイマスクをつけて、実際に街へ出ます。そこで今まで訓練したことをどれだけ実践できるかテストします。いわゆる中間テストみたいなものです。

数人の訓練士が一緒について、評価します
数人の訓練士が一緒について、評価します

  • 第2回適性評価テスト(TP2=Task Performance2)
    1回目の適性評価にパスした訓練犬は、約2ヶ月後に第2回適性評価テストを受けます。今度は担当ではない盲導犬訓練士がアイマスクをして街へ出ます。訓練担当者ではない人が指示を出しても、きちんと誘導でいるかどうかを評価します。
  • 最終適性評価テスト(TP3=Task Performance3)
    第2回適性評価テストをパスしてから、約2ヶ月後いよいよ最終テストを迎えます。人でいうとまさに受験の本番。この時は、盲導犬訓練士ではなく盲導犬と歩くことに慣れていない人がアイマスクをして一緒に歩きます。それによって、初めて盲導犬と歩く視覚障害者が一緒でもきちんとお仕事ができるかを判断できます。
  • 共同訓練
    盲導犬を希望する視覚障害者とパートナーになる盲導犬が一緒に訓練を行うことを共同訓練と呼びます。約2週間、盲導犬協会に宿泊しながら盲導犬との歩行訓練や指示語の出し方、犬の食事や排泄のさせ方など、担当訓練士の指導のもと多くのことを学んでもらいます。また最初はお互いのことがよくわからなくても、数週間寝食共に過ごすことにより盲導犬ユーザーと盲導犬との間に信頼関係が生まれてきます。
    センターでの訓練が終わると、次は盲導犬と一緒に自宅に戻り、約2週間の現地訓練に入ります。通勤や通学など盲導犬ユーザーが利用する頻度の高い場所や駅で、訓練を行います。現地訓練が終了すると、いよいよ盲導犬として盲導犬ユーザーとの生活がスタートします。

盲導犬との安全な歩行のために共同訓練は、街中で行われます
盲導犬との安全な歩行のために共同訓練は、街中で行われます

盲導犬としての生活(約2歳~10歳)

最初の頃は、お互いの呼吸が合わないなどのトラブルもありますが、年月を重ねることによって、盲導犬ユーザーと盲導犬との間に強い信頼と絆が生まれます。また安全な盲導犬歩行を保つために、必要に応じて担当訓練士がフォローアップに伺います。

引退(10歳)

10歳を過ぎると、いよいよ盲導犬のお仕事も引退です。外出するときにハーネスをつける必要はありません。盲導犬ユーザーにとっても、盲導犬にとっても、お別れは寂しいことです。盲導犬ユーザーは次の新しいパートナーを迎え、引退した盲導犬は引退犬オーナーの家庭でのんびりと余生を過ごします。たとえそれぞれが別の生活を歩んでも、約8年間の絆が消えることはありません。

新しい家庭でも大好きなお昼寝を満喫中
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