10月15日は何の日かご存知ですか?
答えは・・・
「国際白杖日(こくさいはくじょう)」です。
今回は、その「白杖」についてお話したいと思います。
白杖は身体障害者福祉法では盲人安全杖と呼称されていますが、一般的には白杖と呼ばれています。
白杖の歴史は、1920年ごろ、フランス人のジャン・ドラージュが盲人用の杖を考案したことに始まります。
杖は当初、暗色であったが、周りからも認識しやすくするため、現在のように白色となったとされています。
構造はグリップ、シャフト、石突きの3つの部分からなります。
形状はストレート式と折りたたみ式に分類され、前者は伝達性と耐久性に、後者は携帯性にすぐれるなどの特徴があります。
白杖には大きく、①歩行面(路面)の情報収集 ②障害物からの防御 ③存在を周囲に知らせる の3つの機能があります。
特に ③に関しては、周囲の人が視覚障害者の存在に気づくことで人通りの多い場所でも衝突せずに歩きやすくなったり、迷ったときなどに援助が自然に受け入れられることに大きな意味があります。
素材は、以前は木材や竹などで作られていましたが、近年は軽金属、グラスファイバー、ブラックカーボン、アラミド長繊維強化樹脂など様々な素材のものが作られています。
近年、白杖は、視覚障がい者の方が安全に、安心して歩行できるような開発が続けられています。
その一例として、衛星利用測位システム(GPS)を利用して、横断歩道の信号の色や目的地までのルートをスマートフォンの音声で案内するシステムの実証実験も開始されています。
しかしながら、白杖がいかに進化したとしても、また、視覚障がい者で白杖歩行に慣れた方であったとしても
点字ブロックに物が置かれていたり
スマートフォンを見ながら歩いてくる人に接触されてしまったり
いつもと違う時間帯の電車に乗ろうと、慣れない駅のホームを利用したり
こうした危険因子が重なると…
私たち晴眼者にしたら日常的なことでも、視覚障がい者の方にとっては、低位が失われ、頭の中で描いていた地図と方角にずれが生じてしまい、結果、迷子になってしまいます。
それが、駅のホームなどの狭くて危険な場所であれば、大事故につながりかねません。
白杖は、視覚障がい者の方にとっては、眼であり身体(感覚器官の)一部でもあります。
いくら技術や用具が進化しても、周りの皆さんのご理解とご協力がなければ安全に歩行することはできません。
この機会が白杖の役割について知っていただき、視覚障がい者の「歩行」について考え直すきっかけとなりましたら嬉しいです。